post93:どこがシステムをつくってくれるの?
どこがシステムをつくってくれるの?
一方、システム開発はすんなりとはいかなかった。
昭和六十一年(一九八六年)度の県事業「地域INS推進事業」として多回線システムをつくることにはなったが、どこに、どのようにつくってもらうかは、紆余曲折、右に左に変遷してしまった。予算金額を模索したていた十二月から一月の時期に当方の質問に答えてくれたのは、中小のベンチャー的気質を持った企業かアメリカ系の企業だけであった。NECや富士通といった大メーカーはパソコン通信にノウハウを持っているとはいいにくいし、コロンブスのコミュニケーション化議論で経験したように、依然として大型機からの発想であまり真剣に取り合ってくれない。
したがって当初は、アスキーのような本格的ミニコンを使ったシステムの予算を狙いたかったのが、少なくとも〟パソコンをホスト〟にして多回線が実現できる予算を最低保障として確保としておき、予算内でそれ以上のシステム開発ができる企業を探せるかどうかがポイントになっていった。
ところが、実際に予算が取れて本事業がスタートする、と漏れ伝わった二月頃からいくつかの提案をもらうようになった。しかし、当方の「データベースからコミュニケーション重視」というコンセプトに合うものはほとんど皆無で、結局は多少のプログラム開発や改造を承知で請け負える会社を探さざるを得ないだろうと思っていた。心当たりはあそことここと、とだんだん絞りつつある頃、突然のごとく富士通大分支店の横山奨支店長がやってきた。
「今度、大分に(株)富士通大分ソフトウェアラボラトリという富士通直系のソフトウェア工場をつくったので、コアラのシステムをぜひともウチにやらせてほしい。多少の改造やソフト開発も承知するのでぜひともよろしくお願いしたい」
という。聞くところによると、情報センターのコロンブスのみならず、県庁の大型コンピューターも富士通が納入しているとのことで、今回のコアラシステムはシェア確保のために多少のことがあっても落せない、と判断したようだ。それまでは、パソコン通信にはあまりよい返事がもらえなかったのにどうしたことなのだろう?と首をかしげつつ、疑問点をいろいろと投げかけてみた。支店長は宿題を持ち帰り、改めての返事は、
「実は、まだ公表できないし、私達もつい先日まで知らなかったのだが、本社のほうでミニコンをベースにしたパソコン通信システムの開発を考えている。で、ぜひともその先駆け的なユーザーになっていただきたい。県絡みのパソコン通信局なんてまず(国内には)ないことですから。それで、先日の宿題ですが、全部が整わないまでの間、富士通系の会社がパソコンをベースにしたシステムを開発しているので、当面それを使っていただきたい。もちろん、当社の負担でその〟臨時システム〟を用意させていただきますので」
という。
ふーん、ついに富士通の奥底でパソコン通信に目覚めたグループが出てきたのか。内容的にも至れり尽くせりのようなので、早速カイチョーや県庁の清積課長に相談したところ、「これ以上の申出はそうないだろう」ということで前向きに進めることとなった。何しろ、いざとなれば、大口ユーザーである県から富士通への〟指導〟がきくように感じられ、(県庁も県のお金を出す以上、いつも付き合っている企業ならば新規分野のプログラム開発も安心なようで)実際の話を進める私もやりやすい。
ということで、スタートすることになったのだが、その費用は、県庁から三百万円で、NTT大分支店が百万円、NHK大分放送局、OBS大分放送、TOSテレビ大分の各放送局が五十万円、KDDが三十万円、コアラの会費収入から二十万円、以上総合計六百万円。九百万円の見積もりを持ってきて六百万円で受注することになった富士通は、半年の打ち合わせで見積もりを九百万円から二千六百三十万円へと大きく変更してしまうのだが、まさかそれさえもオーバーしてしまう開発になってしまうとは誰もが予想しなかっただろう。それもあくまでも受注金額六百万円のままで。
さて、さっそく第一回の打ち合わせが行われ、富士通より説明があった。
現在関連会社で開発中のFM16βパソコンをホストにした五回線システム(定価で五百五十万円)を、一次ステップとして八六年七月初旬に稼動させ、第二ステップとしてミニコンベースの本格的八回線システムを同年秋以降に納入したい、という提案であった。私としては現在のCOARAー1の一回線システムは、夜がほとんど話し中で一日でも早く多回線にしたかったのだが、できないものはどうしようもない。そこで、「できるだけ第一次ステップの詳細を流してほしい。会員にはその情報を流して我慢してもらうから」とお願いした。
四月になって一次システムの詳細が流れてきたが、微妙にCOARA-1の概念と違う。我々一般人が使うのに、書き込み終了が@@記号であるとか、表示中断が16進数のFEであるとか、少しばかりパソコンに強い人でないと理解しにくいところがあちらこちらに見える。心配になって、COARA-1と同じようなインターフェースに変えてもらえないか問い合わせてみたが、返事は思わしくない。五月に入っても同様で気が重たくなってしまった。しかし、ただで五百五十万円のシステムを使わせてもらえるのだからぜいたくはいえない、まずは感謝が先だろう。

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