post82:コミュニケーション・サービスは専用マシンが必要なんだ
コミュニケーション・サービスは専用マシンが必要なんだ
他のパソコン通信ネットワークのホストコンピュータのハードシステム状況を調べてみると、国内ではほとんどがまだほとんどがホストにしている状況であった。そして、パソコンを使うがゆえに多回線システムにするのに苦労していて、特殊な機器・コンセントレータを利用していたりと、どれもリアルタイム多重処理システムとして本格的であるとはいい難い。日本でパソコン通信が本格的になったあとで出てくるであろう次世代のシステムまでの橋渡し的なものにしか感じられない。
で、そういった時に、アスキーから電話があって「十一月三日に熊本の八代で行われる『熊本県の生活と情報化展』のアスキーの展示コーナーでコアラを紹介したい、できればこの機会にあなたにも会ってみたいのだが」と誘いがあった。当時は、九州から東京のアスキーネットに常時接続してデモンストレーションすることなど、電話料金の面からとても考えられなかった。そこで、距離の近い九州内のBBSを利用しようと考え、「アスキー・パソコン通信ハンドブックのプログラム」を実際利用しているコアラグループに興味を持ったようだった。
これはよい機会だ。日本でもっとも本格的なホストシステムを動かしているアスキーのことを教えてもらおうと、いそいそと出かけて行った。
アスキーの電子出版部の高橋匠さん、および宮崎秀規部門長が東京からきており、夜、三人で焼酎を思いっきり飲んでしまった。翌日はベットから抜け出せないほどの二日酔いになってしまったけれど、とても有意義なものだった。アスキーのパソコン通信ハンドブックの素晴らしい雑誌企画に対する読者としての私のお礼から始まり、現在の日本全体の動きや、アスキーのホストがやっぱりUNIXマシン、VAXのミニコンで動かされていることを教えてもらった。そうか、本格的なものはそうなるんだろうなぁ。パソコンでもないし、情報センターに計画された大型事務コンでもないのだなぁ。結局はマルチタスク処理が得意なミニコンが本命なのだ。
八代でのデモンストレーションは、ホストシステムのあり方だけでなく、さまざまなヒントを私に与えてくれた。おもしろかったのは、会場で熊本のパソコン通信ネットのD-COMさんと会ったこと、福岡のネットにはじめてアクセスしたこと。D-COMの藤森信行さんはまだ若く、データがなかなか集まらない事を嘆いていたが、客観的に見て、コアラは九州内の他システムと比べると結構データが集まっていて、それもほとんどが読みやすい漢字文章であることや、内容も硬軟織り混ぜて多彩であることが目を引いていた。
とくに、馬場雅治君の〟コウコウセイシリーズ〟と、それに対して成績がよくなる方法を教えてくれた先生の話や、三重町の広報誌の親近感あふれる内容は、一般の〟おばさん〟連中も足をとめさせるほどの人気であった。アスキーのパソコン通信の実演は、結果として朝から晩までコアラを使って行われてしまった。
八代でのデモは、アスキーと信頼関係ができたことのみならず、アスキーネットも地方と何らかのリンクを持ちたいと考えていたこともあって、翌年になっておもしろい展開を見せることになる。
コロンブスはコミュニケーションには使えない
しかし、困った。〝コロンブスを使いこなそう〟というグループが、〝コロンブスが使えない〟という結論を出してよいのだろうか?
そういった懸念を抱きながら、十一月の中旬過ぎ、経済同友会の例会でコアラの話をすることになった。
何しろ、大分の中小企業がコロンブスを使いこなせるようにするための応援団的な性格を持つコアラとしては、企業経営者に直接その呼びかけを行う絶好の機会であるし、後藤カイチョーは同友会の幹事、情報センターの北村専務はニューメディア委員会委員長、私が副委員長であるので、コアラは、メイド・イン・同友会といってもおかしくない。そのスタンスで、かつ、もっとも若い会員として同友会に報告するような気持ちで話した一時間半は、結果として今までのことを総括し、今後のことへの腹をくくることになってしまったように思う。
当時、ことあるごとに聞かれてた「〝ニューメディアの本命であるキャプテン〟とパソコン通信の違い」を、「双方向性の強さが違うのですよ。キャプテンのようにお金を出してIP(情報提供者)に特別になるということでなく、誰でもが情報提供者にも利用者にもなれるし、電話線があればその情報が発生した地点からネットを張れますよ。キャプテンのアダプターは二十万円ですが、パソコンを持っている人には四、五万円の投資ですよ。かつ日本国内のデータだけでなくアメリカの情報、世界の情報、さらには過去のすでに蓄積されている膨大な電子情報が利用できますよ。引き出したデータは、キャプテンと違って自分のパソコンに取り込みワープロなどで再加工利用できますよ。世界はこの通信方式が標準品として横に結ばれて行きますよ」と説明すればするほど、「大分にキャプテンとは別にもう一つの本命、〝パソコン通信ネットワーク〟がなくてはならない」と思ってしまう。
かつ、日本全体の現況を、「全国に同様のシステムが今四十ほど動いています、その中でコアラは、第三セクターの中に事務局があって行政が後押ししてくれている唯一のシステムです。メンバーは、パソコンマニアよりも企業人が多いので、よそのネットのようにシステム構築論よりも実質的にどう使うか、という利用方法を先に考えるめずらしいグループですよ。素人が多いの漢字主体のシステムになってしまったのが結果的によくって、大人のネットワークとして見られているようですよ。地方自治体が実験的に広報ニュースを流している、これまた日本で唯一のネットですよ」と説明するにつけ、コアラをこのままにしておくのはもったいない気持ちになってしまう。
さらに、熊本での経験を踏まえての九州内の状況説明は、「熊本もこの新しいメディアに気がついています、県の情報化展にいち早く東京のアスキー社を引っ張りだすほどですから。だから、熊本に負けないように」という話になるわけであって、結局は、
「同友会の皆さん、情報センターはコロンブスを改造してでも将来的にパソコン通信ネットワークを大分に取り込むような検討をしています、いちばん金のかかる初期設備投資を国と県の力でやれるならば、熊本に負けない、他県に負けないシステムが作れる可能性があります。全国的なニュースや情報は黙っていても入ってきます、入ってこないのはローカル情報であって、大分だけでなく世界中のローカル情報が不足し求められていると思います。つまり、このローカル情報を徹底的に詰め込んだネットワークをいち早くつくったところが、それだけいち早く世界に開けたローカル地域になるのであって、いうならば『情報独立国』となるのではありませんか? だからマタイ効果を利用して、大分が一つになって発展するように同友会で積極的にリードしてください、お願いします」
ということで、〟大分にパソコン通信ネットワークをつくり普及させる〟ことがますます大事だと、自分自身に再決心させることになってしまった。つまり、コロンブスをパソコン通信ネットワーク好みのシステムに今回改造できないならば、それが実現されるまでは他のホストコンピュータでコアラを動かし続けよう、そして、コロンブスを改造できそうな次のチャンスを待ってみようという気持ちになってきた。
しかし、他のホストコンピュータってどこにあるのだろう? 年間三十万円程度の会費収入しかないグループがどうやってホストシステムをつくれるだろう? 朝日情報センターのコンセントレータ方式を取りあげても四百万円程度はかかりそうだし、UNIXタイプでは新規開発が近いとはいえ、その倍以上かかりそうだった。コロンブスのホストシステムが流用できそうだったからこそ初期投資をかけずに始められる、と、踏んだはずなのだが。。。

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