post78:高校生の乱入。慌てる大人達

高校生の乱入。慌てる大人達


 そもそもコアラは「中小企業情報センターを事務局に、中小企業データベース(SMIRS/コロンブス)システムを使いこなす」ことを基本にしているがゆえ、暗黙的に中小企業者的立場の人の入会を考えていた。

 したがって、実験システムが動き始めると、逐次用意されていく通信データは中小企業用のデータベース利用目的風であって、各コアラメンバーが自分で自分の企業を紹介し合う形式のものであった。

 皆、一生懸命つくり合ったし、とくにマイコン研究会からコアラ発足に参加した安部鋼機の安部耕司さんのグループは、自社内にどういった工作機械を持ちどういった仕事なら請け負えるかなど、細やかで丁寧な企業紹介を行い、目を引いたものだ。

 しかし、目新しさはあったものの、パソコン通信ってこんなものかな?と思う。もっと役にたつデータはないのかしら?安部さんの持つ工作機械を必要としない他企業は、このデータを単純に読み飛ばしてしまうだろうし、中小企業がほしいデータってどんなものが考えられるだろう?

 いろいろ試してみた。変わったものでは、大分~博多間の電車の時刻表を入れたもの。八月からは雑誌『パソコンワールド』のワールドパソコン情報を編集部からフロッピーでもらいパソコン・コーナーに入れ始めてみた。九月の例会では、皆が「各種病院のリストをいれたらどうか?」「催し物案内を」「ホテルの空席状況を」「テレビ番組案内を」「プレイスポット情報、おいしいお店の紹介を」「別府地獄の案内を」と、とにかく中小企業利用とどういった関係があるのかな、と思うようないろいろな意見が出てくる。

 どれもいま一つ企業ユーザーとしてメリットを見つけた、という感覚にならない。だいたい「企業にとって役にたつ」といううことはどういったことなのだろうか? モシモシという電話一本で聞き出せる情報を、わざわざパソコン通信を使って入手することがどういう役にたつのだろうか?通信したあとで、そのホストのデータを自分のパソコンに取り込み、自由に加工できるからか?そんなことではないようで、どうも納得がいかない。企業利用ということには限界があるのではないか? 

 そういったことを感じ始めた頃に、〝企業人〟としてではなく、〝一般社会人〟としてコアラ入会者が出始めたのである。そして、思わぬことにその中に一人の高校生がいた。九月の例会にやって来て、入会した馬場雅治君である。彼は、例会で話されていた企業利用相談を聞いて「なんだこれは?」と思ったらしい。で、早速、こういった内容をコアラの中にアップロードしてきた。(画面2─1)


9月18日の例会では,いろいろ皆様のレベルや雰囲気を見せていただきました。 おじさまばかりのCOARAに若いアイデアをぶつけますので覚悟を!

 例会では、いろいろアイデアが出ていましたが、わたくしめが一つ情報を 入力していきたいと思います。

 内容は、若者の考え方や社会感・現場(高校)の現状などをと考えています。 特に考え方は、高校生ぐらいのお子さんがいらっしゃる方には、参考になる ように本音を書きたいと思います。

 題名は、“高校生”とします。 今日から数回は、“子から見た大人”です。 子供の一番近い所にいる大人は、親です。


画面2─1 馬場まさはる君の高校生シリーズ

 その頃のCOARAの平均的会員は年齢的に、三十歳才以上で四十代、五十代もかなり見かける。十七歳であった馬場雅治君にとっては大人の世界、異次元の世界に足を踏み入れた感じだったらしく、「企業のためになるデータ」を考えること事態が奇妙に思えたに違いない。

 大人側の我々企業人は、彼の書き込みを見て慌ててしまった。

 

 「彼、勘違いで入会したんだろうなぁ、中小企業利用ってこと知らないだろうなぁ」

 「じょうだんじゃない、まずいことになったぞ。非常識な書き込みにならなきゃいいが」

 「おい、あんまり取り合うなよ。いずれ止めていくだろうから」

 などと内緒でいっていたが、彼はおかまいなし。

 非行の原因はこういったことだとか、いやな大人の実例だとか、校内暴力や家庭内暴力のことなどを次々と。彼が書けば書くほど、我々大人側はますます「シーッ」と黙ってしまう。しかし、彼はめげない。これでもかと、建設現場でのアルバイト経験のことなどを一週間に一本のペースで書き進めていく。彼は彼なりに企業利用データベースとは違う「高校生データベース」をつくっていこうとしている。



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