post74:ニューヨーク・大分間の業務連絡を電子メールで
ニューヨーク・大分間の業務連絡を電子メールで
六月例会直後の六月下旬から七月のはじめにかけて、会社のお客さんに連れられてアメリカに遊びに行ったが、今度ははっきりとパソコン通信を意識してのアメリカ行きであった。コンピュサーブを使って、大分とアメリカで通信の実際を試してみた。しかし、パソコン通信普及前夜的混沌期には、その準備にも大いに苦しんだ。
持って行けるほどの小型の専用パソコンPC8201を、たった一度のために買うお金もないので、東京のレンタルショップから借りるありさまだった。今では二台め三台めのパソコンを購入するのに抵抗がないほど、パソコンの個人的効用は認められているが、当時は値段に比してまだまだ機能や効用が低かったし、パソコン通信が本当にこんなに重要で楽しいなんて知らなかった。
日本とアメリカでは通信規格が違っており、それらの両方に対応するモデム類がまだ市場に出ていないことを雑誌で知り、
一面識もない『日経パソコン』編集部の林伸夫さんにおそるおそる電話で聞くと、秋葉原の本多通商というお店でエプソンCP-20という音響カプラーを改造してもらって購入すればいい、更に接続できるかどうかの実験は林さんが個人でやっているBBSシステム(マックイベント)にテストアクセスすればいい、と教えてもらった。
また、そのCP-20を設計したエプソンの工藤泰彦さんが、その後コアラを持ち上げてくれる有力メンバーになるなど、その時は考えもしなかったものだ。とにかくそれでアメリカに行き、数日おきに替わるホテルから一生懸命アクセスした。
そして、大分の弟と時差を越えての業務連絡電子メールは、ローマ字ではあるがニューヨークで遊んでいる私にとって「仕事をしている」というポーズを〝国内外〟につくる大いに有効な小道具になってくれた。
帰国後、その時のことをベースに、今秋設置される情報センターのデータベースマシンに電子メールや電子会議機能を持つアメリカ型のパソコン通信機能をつけよう、という提言を以下のように大分合同新聞に次のように書いた。
大分でもぜひ欲しいデータベース/新しい通信方法として米国で急成長
先日、ニューヨークに行く機会があり、小型のパソコンを持って行った。大分にいる弟とニューヨークにいる私とで電子メールのやりとりをしてみた。
電子メールとはコンピュータを使った通信のことで、今回はアメリカのオハイオ州にあるコンピュサーブ社の大型コンピュータに、弟が私宛の手紙をパソコンで電話回線を使って入れておく。そうすると十三時間の時差があるニューヨークで、弟が寝ている(都町にいる?)日本の真夜中に私はホテルの電話を使い、持っていた小型のパソコンで伝言や手紙を読み取ることができるのである。
電話は、かける側と受ける側とで〟同一時刻に合意のうえで通信〟する事になっている。ビジネスでよく感じるのだが、当然忙しい相手やそう面識もない相手に対しては〟同時刻合意通信〟を強いるのは気がひけることが多い。かといって手紙やはがきは即日性が薄く、形式にとらわれるてしまったり、下手な字のことをクヨクヨ考えたりで煩わしい。電子メールはそれらの問題をいっぺんに吹き飛ばしてくれる新しい通信方法であることを実感したわけである。
いま、アメリカではこうした電子メールや電子伝言板といった通信機能を備え、一般のユーザーを対象にした(けっして、特別の技術や知識、または高価な装置を持っている人を対象にしているわけではない)オンライン・データベース・サービスが急成長しており、前述のコンピュサーブ社は会員数も二十万人を越えている。その理由は種々考えられるが、電子メールのほかにサービスの内容が、旅行、ショッピング、新聞ニュース、株式情報など身近な分野で多岐にわたっていることに加え、各会員が井戸端会議的に自分の持っている情報をそれぞれデータとして登録していくので、その面白さや有益がこれまでにないものとして注目されている。
当然、日本でも昨年末あたりからその方向に沿って各種実験システムがあちこちでスタートし、わが大分県でも五月十六日に「大分パソコン通信アマチュア研究協会(略称COARA)」が県地域経済情報センターを事務局としてスタートした。
情報センターは本年十月以降に大型コンピューターを導入し、県内の市町村役場や商工団体、中小企業者などに対しパソコンを使ったデータベースサービスを計画しており、その将来的な方向はアメリカの現状方式を目指すことになると思われる。
そこで、COARAは、情報センターのデータベースを十分に使いこなせるように通信を身近なものとして体験し、平松知事の先導するニューメデイア先進県を目指してパソコン通信のネットワークを実現しようと結成されたわけだ。情報センター内に自動応答のミニデータベース実験システム(COARA BBS SYSTEM)を嫁働させている。
聞くところによると、お隣の熊本でも同様のシステムがスタートを切ったとか。大分もウッカリしておれない。情報センターに設置される大型コンピュータは、県の予算の関係でスタートアップ費や運営費に苦しんでいるように聞いている。地方独自の、そして特有の情報を集めたオンライ・データベース・地方ステーションが大分県に一つはあってほしいという願いを込め、皆さんの応援を期待したいところであります。
(大分合同新聞 「私の提言」昭和六十年八月五日)
このように、呼びかけはいつもパソコンにうとい一般の人達主体だったために、こちらの説明不足・説明不良もあって混沌が混沌を呼ぶことになる。

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