post70:〝マタイ効果〟で仕掛ける

〝マタイ効果〟で仕掛ける


 そして、日本より5年は進んでいると言われてた当時のアメリカの状況は、もっといろいろと考えさせられてしまいました。

 こういった、データベース的な色彩の濃いニューメディアには、『マタイ効果』と呼ばれる面白い傾向があるという。

 つまり、富める者は益々富み、奪われる者はますます奪われていくという、聖書のマタイ伝から取られたというこの言葉、面白い情報が沢山有るところには利用者が沢山集まってくるし、人が集まれば、その人達に知って欲しい、と、益々情報が集まってくる、、、、反対に、情報が少ないと人も集まらず、情報も集積されず、さびれていってしまうという。なるほど。

 つまりは、この雪ダルマのような効果を是非とも大分にとってイイ方向に回転させなければならないこと。

 また、そのために、同じような電子ネットワークを情報基盤が充分整っていない狭い大分の中で乱立させて、小藩分立的な足の引っ張りあいをやってはいけないこと。現段階で大分で商売として電子ネットワークが出現すると、それに対抗する団体が商売敵として電子ネットワークをつくりかねない。ニューメディアは利権がらみでみられがちだし、商売でなく既存の会社が自社サービスの付加サービスとして始めても同じように競争会社が付加サービスをはじめるだろう。つまり、当面、その電子ネットワークは中立であることと、利潤を目的にしない運営主体として考えるべきではないか?

 地方では東京と違って、どの資本からも、どの団体からも等距離にあって、皆が同じ立場で参加できる中立的な電子ネットワークづくりをめざさねばならないはずだ。そうであって始めて、本当に県民皆が自由に利用でき、自分のために、互いのために、その電子ネットワークを大きく魅力あるものにしようという、言わば正のマタイ効果を持つ社会基盤的な存在の最初の条件が整うように思う。

 現に、コアラ発足の一年半程経った後に愛媛県からいくつかのホスト局主催者が一緒になってコアラ見学にこられたのだが、

 「ホスト局同士が数少ないユーザーを引っ張りあってうまくいきません、どのネットもすべてダメになりそうです」

 という相談にたいして、そういった大分流の考え方を申し上げたところ、帰りの船では呉越同舟、一つの中立的ネットとして再出発することになったとか。競争原理だけでは地方ではサービスが立ち上がりさえできないことを実際に思い知ったことであった。

 そう想定すればするほど、中立で利潤を求めない場所として、第三セクターの大分県地域経済情報センターが一番の場所だ、と、意を強め、そこが主宰するコロンブスにますます執着するようになっていく。

 そして、何よりも気になったことは、そういうマタイ効果と呼ばれる集積効果があるならば、お隣の熊本に負けてはいけない、、、、大分が〝一村一品運動〟を始めると、すかさず〝日本一運動〟を仕掛けてくる熊本に、今後の10年・50年を左右する情報分野で遅れをとってしまってはいけない、、、、できるだけ早く始める方がよさそうだ。

 今までは、郵政省にしろ、建設省にしろ、国の九州統括事務局は総て熊本や福岡が中心であって、我々大分人は参勤交代よろしく出かけていたわけだが、先進のアメリカをみると面白い。当時、40万人以上が利用している世界最大のパソコン通信ネットワークであるコンピュサーブの例をみても、金融的にも政治的にも物理的にも世界の中心であるニューヨークやワシントンに本拠を置いているのではなくて、オハイオ州のコロンバスという一地方都市に拠点を置いている。

 つまり、情報社会は、通信回線があれば、どこからでも利用ができるということが実証されているようで、それならば、九州内では福岡や熊本よりも大分の方が、地理的に瀬戸内地域をも含めて、おへそのように真ん中であるということで、立地条件はとてもイイ。

 なにかと言われる〝物理的な一点集中〟に対する新しいバランスになるかもしれない。

 電話料金もそう言っている。

 弟達三人組は、まだ日本国内では東京でしかサービスされていないように思えた状況下であったので、良いも悪いもない、東京にアクセスしてみてその面白さや可能性に狂喜するも、1時間8,000円の電話料金は毎日は楽しめない。それが東京在住者は同じNTTを使っていて、3分10円、すなわち1時間200円であって、大分はその40倍の料金を払わなければ同じ楽しみを享受できないことに悔しさとも無念さとも思えるため息をついている。またもや、東京に集まる口実だ。

 さらに前述のアメリカのコンピュサーブにもKDDを使ってアクセスしてみたところ、その請求書が来て驚いた。東京の半額の1時間4,000円だった。これはVENUSーPサービス------パケット通信と呼ばれ、物理的な一本の電話線を時分割で共同利用する方式、当時KDDのみが一般向けにサービスしていた------を利用したからで、日本国内の通信にはそういったサービスはまだ個人用にはなく、NTTがそういったサービスを検討しているかどうかさえ知ったこっちゃない私達にとって、心穏やかならぬ事態だ。

 同じ日本人なのに、東京よりアメリカの方が近いなんて! アメリカ(4000円!)は東京(8000円!)との中間の大阪あたりにあるらしい。東京はアメリカ大陸の向こう側にあるらしい。私達に英語で話せ、と、言うのか。同じ日本人でありながら、大分に住んでいるがゆえに日本語で楽しむチャンスを奪ってしまうのか? これには我慢できない、、、、東京人はこの事実を知っているのか? きっと総ての地方はそうだろう。そのことに気がつく地方は、やむを得ず怒りを押えて自らが楽しむ電子ネットワークをつくるであろう。九州もそうだ。必ず九州域内に九州人をユーザーにした、地場電子ネットワークができるということであるはず。

 だから、後藤カイチョー、やろう、何かをやろう、大分をベースにしたパソコン通信ネットワークができるように研究し、その電子ネットワークを普及啓発する組織を情報センターにつくろう、今しかない、福岡や熊本が気がつく前にぜひともやろう、と、話してみた。

 応えは簡単明瞭、「いいよ」とあっさり一言のみ。

 あっけなすぎて、、、それこそ次の言葉につまってしまう。「パソコン通信は、コレコレシカジカで、、、」と説明しようとする肩から力がぬけ落ちてしまって、、、そうか、そうとう力んでいたようだ。彼はいつもそうやって私を落ち着かせてくれる。



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