post66:世の中を知るほどに『全二重通信』が本物であると確信

世の中を知るほどに『全二重通信』が本物であると確信


 そういった焦りにも似た気持ちを持ちつつ、国内の大分以外をみてみた。東京では日本航空がJALネットとしてパソコン通信サービスを実験的に開始していたし、パソコン雑誌社のいくつかも『全二重方式』のサービス実験に取り組んでいた。更に、個人所有のパソコンをホストプログラムをつくって個人でパソコン通信サービスを行っている人達も雑誌で取りあげられ始めている。

 大分でそれに気がついたのは私だけではなかった。後にコアラ東京特派員となる梅林建設の営業藤野行嗣君とヤマキの社長の子息佐藤知之君、それに私と同様父の会社にUターンして帰ってきていた弟の尾野文俊である。この三人は昔から何かとつるんで遊んでいて、GIジョー(!)、ジャズ音楽、バーボン、SF、コンピューター、と常に先進市場を争って追い求める傾向があり、なんやかやと思考が同じ方向にあるらしい。その彼らも東京やアメリカの動きを察して騒いでいる。なんとか大分でもそういった電子ネットワークが楽しめないか?と息巻いている。つまり、『全二重方式』で行われている内容は彼らを興奮させ熱中させるものであり、決して半二重方式や郵政省方式であったり、キャプテンで計画されていた絵情報通信でなくても十分でありそうだ、と、予感させてくれる。なによりも、キャプテン装置は当時で1台20万円ほどだったが、全二重方式はスピードは遅いけれど5万円程度の音響カプラーで始められるという庶民感覚がいい。加えて、ほとんどのメーカーのパソコンがその通信機能を持っているので特定メーカーのパソコンに限るようなこともない。これなら普及しやすそうだ。

 その彼らの思いも受け取りつつ、思い余って85年1月、大阪で株式会社としてアメリカにみならっていち早くパソコン通信を商売としてサービス開始したCom・Comと、東京で先進的に実験サービスしている日本アマチュアデータ通信協会(JADA)を訪問してみた。二つともにアメリカ式『全二重方式』である。

 この二つはまさに対照的であった。片方はビジネスとして、あきらかに利潤を目的にしており、サービスするところをフランチャイズで求めていて「ニューメディアは金になる」ことを前面に匂わせた経営であった。どちらかというと商売気が勝りすぎ、利用者としては近づき難いと思うが。思えばFM放送やポケットベル、新テレビ局等の創設時にはいろんな団体法人が利権を求めて名乗りを上げ、利用者そっちのけの争いを繰り広げているようだが、それと同種の臭いを感じてしまった。その反面、日本アマチュアデータ通信協会は、Com・Comと同じ人物名が見られたり、本部、支部、センターといったフランチャイズに似た組織構成を考えていたが、その名のとおり、利益を目的とせず、データ通信の普及啓発が主目的のようで、好感が持てた。

 そして、運営方式にをどう思うかは別にして、彼ら運営者側に立つ人達からユーザーの反応を聞くにつれ、また、その頃に発売された雑誌や単行本を隅から隅まで読むほどに、苦労はするかもしれないが、アメリカ方式の『全二重方式』の方が利用者にとって手頃であり、ユーザーインタフェースがよいように感じられるし、本格的に伸びるのはこの方式であろうという強い確信を持つようになった。



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