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BB21プロジェクト
NTTは九四年一月十二日、児島仁社長が「マルチメディア時代に向けてのNTTの基本構想」を示し、当面の具体的な取り組みとしてマルチメディアサービスの実験を実施すると記者発表した。
それを事前察知した平松知事は、一月十日の講演会で「コアラや豊の国ネットの実績やハイパーネットワーク社会研究所があることなどを生かして、NTTの実験をぜひとも誘致し、スマートバレーやIT2000に負けないように地域づくりをやろう」と話した。
私は、コアラメンバー有志、公文先生をはじめとするハイパーネットワーク社会研究所のワークショップで大分に縁を持ってる人達、県や情報センター、吉村商工会議所会頭、大分経済同友会の代表幹事を含む常任幹事会、別府湾みらい21委員会、秋月大分県工業団体連合会会長、大分県ソフトウェア協会、大分青年会議所の人達と相談し、仮称ではあるが「BB21;Beppu Bay 21-project」と称してハイパーネットワーク地域整備(実験)の試みを取り急ぎまとめた。
大分の過去のRII整備の特性は、ユーザー主導、市民主導であったのは間違いない。シンガポールやアメリカとの比較からわかるとおりだ。したがって、私達は常にそういった視点でRIIを整備すべきだろう。
新しいRIIとして、課金・集金・決済機能を持った透明な高速双方向のサーバー/ゲートウェイ・システムを考える。それは、ビデオメールやビデオ電子会議、マルチメディア電子掲示板、マルチメディア新聞、ディジタルCATVを可能にする機能を持たせよう。
「この新しい地域情報インフラが、21世紀の大分をつくるんだ!」と、しっかり旗を掲げよう。それこそハイパーネットワーク社会をつくるために。
そのためのビジョンを示し、全体を指揮する非営利の地域情報委員会をラウンドテーブルとして置き、ユーザー三人、行政二人、企業団体二人、学識者二人の九人ほどで構成する。そこでは、運営とシステムの透明性を保証するよう監視し、公共性の本質を常にチェックし続けること。いわば、思想や情報の伝達の自由であり、この情報インフラ利用の自由やプライパシーの保護を保証し、民主主義の擁護を行うことになるのだろう。そういった性格から、この委員は行く末は知事の任命、議会の承認を得るような制度になることも将来見込みに入れておくべきだろう。
その情報委員会の下に専門スタッフで構成される情報委員会事務局を用意する。事務局は、専門スタッフとして行政や企業などの出向者を受け入れつつ構成し、使いやすい、信頼性のある、技術的に前進し続けるRIIを構築・運転する。
そしてその事務局にサポートされて、個別プロジェクトがIT2000やスマートバレーのように応募できるように構成する。個別プロジェクトには企業プロジェクトも喜んで受け入れられるよう、それらが企業論理で活動できるよう、RIIをより透明であるように工夫する。つまり企業論理や行政論理を飲み込みつつ、市民管理型のRIIを目指していく。情報委員会と委員会事務局が組み合わさって、かねてから考察していた地域情報市民公社(RIU/Regional Information Utility)と呼ぶべき、新しい情報通信運営体ができあがるようだ。
また、それらを支えるすべてのユーザーや企業、行政などでBB21協議会を設置し、意見交換会や利用教育などを行おう。かつ、ハイパーネットワーク社会研究所が社会制度上のことや世界的な動き、技術動向などを踏まえて助言を行いつつ全体を支え、コアラなどのグループメディアで情報委員会委員や事務局スタッフ、サービス提供者、最終ユーザー、市民など、それぞれが双方向かつ電子デモクラシー形態で意見交換を行えるように工夫する。このオンライン協議会がユーザー主体、市民主体を保証することになるだろう。
個別利用プロジェクトは、シンガポールやシリコンバレーと違って日本の地方らしく、高齢者擁護や福祉面、過疎対策的なプロジェクトを求めてみたい。募集は利用サービスプロジェクトだけでなく、技術や製品にも拡大してほしい。
そういった応募するメリットを出すべく、研究開発特別融資制度などの資金面からのメリットや、公的研究機関の技術開発支援もあっていいし、できあがったプロジェクトを行政が積極的に利用するプログラム発表などで応募意欲を喚起すべきだろう。
また、地域は一つではない。NN連合のように同じように連携される地域をハイパーネットワーク社会研究所を通じて呼びかけよう。
とはいえ、このRIIが地域独占にならず、他民間企業からの参入を受け入れることを情報委員会は考慮しておこう。競争原理がないところにユーザー本位は育たない。東京といった大都会はこういった非営利組織よりも民間サービスが数多く提供され、ユーザーが多くの中から自由に好みに合わせて選択利用できることから、都会型の地域情報インフラが存在するかもしれないが、地方は採算面からそう多くが参入してくることはなさそうだ。いや、どこも参入しないという可能性の方が高い。したがって、RIUは東京の大手ネットの地方展開と競争し、同様な他地域のRIU間で競争するようになることを肝に銘じよう。
はじまり こういった構想は、同様の地域との交流で理想も現実も互いに高め合えるだろう。
一週間後にいよいよ「ハイパーネットワーク別府湾会議`94」が行われる。
今年は、シリコンバレーからスマトーバレー公社のハリー・ソール社長やEFFのミチェル・ケイパー代表が参加するという。シンガポール国家コンピュータ庁からの参加もありそうだ。
そして、つい十日ほど前に新設置されたNTTマルチメディア推進室の人もきて、NTTが考えるマルチメディア通信実験構想を説明してくれるようだ。我々が考えることとどうマッチするだろうか。
そして、コアラやハイパーネットワーク社会研究所で大分に縁を持ってくれた多くの人達がやってきてくれる。大分の人達、コアラのメンバーがおおいに楽しめればうれしい。
そう、そろそろこの原稿を脇に置いて、その別府湾会議のことに意識を集中させよう。
そして、コアラが始まって、専務、または副社長でありながら直接的に会社の仕事に手を出し難かった私は、九三年十月、ついに社長となってしまっている。
ニューコアラは三年の暫定政権。
キーボードを休めよう
BB21プロジェクトを通して、コアラの中に私を越えて新しい息吹とエネルギーが出てくるのを待とう。

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