post157:「NNプロジェクト」で電子日本列島

「NNプロジェクト」で電子日本列島


 コアラNEO21グループは元気がいい。

 県からの助成で十一月六、七日の桐生フォーラムに十人ほどが参加してきた。

 私は一日目の全体会「地域ネットワークにいま、未来」と二日目の第二分科会「いま考えるワープロ・パソコン通信の行方」のパネリストで出席。

 初日のパネリストとしての私は、自分の体験を通して昨今感じる地域ネットの危機を話そうとした。そして、市民アンカー論や運営強化論としての情報市民公社論、その具体策としての情報委員会構想、さらには全国ネットやインターネットに対抗するための地域ネット連合列島構想、その先のハイパーネットワーク社会構想などを話そうとしたが、どの程度意図するところが伝わっただろうか?現状のパソコン通信に未来を感じ、今こそ楽しもうとする人達には異質の話だったかもしれない。

 司会の青柳武彦さんはいくらでも話しかねない私と渡良瀬ネットとの間に入って苦労していたようだったし、夜のパーティで、雑誌の記者の方が「コアラの行く先はとてもおもしろそうだが、今まわりにあるパソコン通信とは明らかに違う方向に行きつつあるのではない?マルチメディアのネットワークのこともコアラだけ離れていくようで心配だ」といってきたほどだった。

 が、東京や大分からきているコアラメンバーは元気いっぱいで、地元の渡良瀬メンバーに負けないパワーを発揮しながら「惜しかった、言い足りなかったね」という。ハイパーネットワーク別府湾会議などを経験してきた彼らにはあまり違和感はなかったようだったし、時間切れが残念だったようだ。それどころか戸次栄子さんは「尾野さん、今日の出来は五十点。よその人達にはそれでも当たり前だろうけれど、大分でのパワーに比べて元気がない!明日頑張らないとダメ」と笑いながらいっている。

 そうか、今日の私は五十点か。

 翌日は九時から十二時までで、塩崎さんの司会ではじまった。この日は割り合い時間があるし、問われるままに昨日の背景、地域ネットの心配事をいろいろと話した。ボランティア運営の限界を話していることがだんだんと出席者にわかってもらえ始めたようだった。渡良瀬ネットの塩崎さんは思い当たることがあるように時おりうなずいている。

 「では、どういう対策を考えているのか?」

 と問われてこの一年の動きを説明し始めると同時に、ああ、すでにその対策に手をつけていたんだ、と気がついた。 すでに、一年かけてみんなで準備してきたんだ。

 まずはネットワークのホストシステムを一新、昨年の決定に基づき大分県の公共ホストコンピュータとして三千万円をかけて従来のA-30マシンをA-120の最新マシンに入れ替えるべく慣らし運転に入っている。直通回線は全回線9600ボーになったし、ISDN通信もOK、無線電話にも対応できるようMNPクラス10の回線もある。昨今話題のナプルプスによるオンラインリアルタイム画像表示もサービスできるし、FAX送信サービスもできる。おまけにビジネスユーザーには癖になりそうな不在表示機能 、自動回送機能 、転送機能などがバッチリだ。何よりもホストのレスポンスが速くなったのが気持ちイイ。他ネットへのゲートウェイもX・29によるパケット通信発機能がついて瞬時に接続できる。こういったホストハードなら大手ネットの機能に多少は追いつけるはず。

 いやいや、ハードが問題ではない、問題はソフトだ、中身だ。これらの機能を使って何をするか?が問われるのは当然のこと。そこでまずは、ネットワークらしくネットワークをネットワークして電子空間を大きくすることから始めようと手をつけてきた。最初はインターネットとコアラの接続。NIFTY-ServeやPCーVANで検討していると聞いているが、地域ネットではコアラがはじめてになりそうな雰囲気ですでに接続を働きかけている。

 やはり私達自身の名刺にどこでも通用する電子メールアドレスとしてインターネットアドレスを使いたい。国内だけでなく海外をも含めたグローバルな電子メール網として確実に広がってきているならば、コアラとしてもぜひとも電子メールのやりとりができたほうがいい。それも〝One person,One mail box〟が、〝One person,Two mail-box〟 や 〝Three mail-box〟 に陥らないように、コアラの電子メールで兼用できてるようにしてほしい。使い勝手も今まで通りの操作であってほしいと力説して、大分大学に協力を求めてきた。

 こういった当方の事情に加えて、インターネットの九州地域組織であるKARRNも、インターネットへの個人参加を可能にする枠組みとしての〝いわゆるパソコン通信ネットワーク〟との連係を模索することにもなり、大分大学やいずれ設立されるハイパーネットワーク社会研究所の協力を得て接続実験を開始したばかり。まだ桐生フォーラムの時点では大分県内のみの接続ではあるものの、メールは当然ながら、専用線利用のTCP/IP接続だから、県内の大分大学、県立芸術文化大学、日本文理大学から直接接続できる。

 telnet coara.or.jpとコマンドを打てば、いずれKARRN内部にもその枠が適用されるはずで、つまり、NTTや民間パケット網を経由せず(したがって電話代を気にせずに)九州内大学研究機関からダイレクトに接続できる地域ネットワークになるはずだ。すでにここまで手をつけている。これはうれしいし、いずれはこれを世界へ広げていきたい。 そして、翌年の一月一日から開始されるであろう大手ネットに負けない新サービスとして、電子ネットワーク多極地域列島プロジェクト/全国的電子近隣社会(National Electronic Neighborhood/略称NNプロジェクト)構想の準備が進められていることを披露した。

 コアラは、北海道の道新オーロラネットと九一年一月よりポーティングによる常設の電子会議室共有を行ってきた。我々が開発した電子会議システムはよく売れて、それまでに全国で六十セット以上が納入されたと間接的に報告されている。〝発言〟と〝レスポンス〟を組み合わせた二次元方式は、一次元の電子掲示板方式に比べてよりスマートなグループ・コミュニケーションができることが評価されたのであろうが、それだけにポーティングシステムの開発が難しくずーっと苦しんでいた。それをインテックの西尾さんがTriーPの付加価値を高めるべく取り組み、コアラ・オーロラ間で一年間の運転実績を無事達成。北と南で「一村一品電子会議」を積み重ねて二地域間交流のおもしろさを体験した。そこで、改めて、ポーティングに自信を深めて、大手全国ネットに対抗する多極間電子ネットワーク列島を模索したい、日本列島に点在する複数の地域ネットワークで一つの電子会議室を共有してみたい、電子ネットの中に電子日本列島をつくってみたい、とチャンスあるごとに同じホストを持つ事務局に呼びかけていたこと。しかも、意識的に東京を抜かしたこと。そして、それに賛同する北海道(道新オーロラ)、東北(コミネット仙台)、中部(中日ネット)、中国(中国データサービス)、九州(コアラ)の五つの地域ネットの事務局が今日、この桐生に集まっていること。このフォーラムが終わり次第、実際の作業段どりを打ち合わせることになっている、と公表した。

 こうやって全国ネット、大手ネットに負けないおもしろさ、ひと味違う楽しさを用意中だった。

 これには皆びっくりしたようだった。

 そして、九三年一月一日に実際運転を開始した。

 



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