post152:「情報委員会」議論 

「情報委員会」議論


 そう思えば、今後の取り組まねばならないことは自然に見えてくる。

 皆に信頼される強い運営体、事務局をつくり、大手全国ネットに負けないホスト・システムを用意。ハイパーネットワーク社会研究所を持とうとする大分にふさわしくハードを最新のものにして、大手並のサービス機能を整備し、大人数ユーザーに対応できる、よりユーザー主導の電子会議ソフトの改造・開発が必要になってくる。

 そういった初心に返って、県との打ち合わせに望むようになった。

 ハード設備の内容は、希望のものが予算案として練られた。そして、県営を考える県の求めに応じて過去の必要経費を提示したが、県のほうで維持運営の予算を組んでみると、どうしても赤字気味で相当の無理をしなければやっていけないことが県にもわかってき始めた。初期設備だけではシステムは動かず、運転経費がかかるのは当然のことで、その収支の帳尻あわせは民側に求めているような雰囲気。にもかかわらず、県職員への会費を下げてくれという要望もあったりで、これはおかしい。県の職員と一般会員の会費を別にするのはおかしいに決まっている。同じ利用者だ。所有や運営方針は県がするが会計は事務局が独立採算で運営せよ、と妙なことになりそうだが、たとえそうであっても、同じ負担をしてくれるように依頼した。また、月千円の会費で現状のネットワーク維持するには、私のような「出張費・設備費自持ち完全無給事務局員」が必要になってくる。たとえそれが解決されたとしても、会員の拡大を結びつく利用メッリットを出すさまざまな出版物やイベント、必要な設備投資に対応できず、じーっと何もしない息を殺した事務局になってしまう。いや、やっぱりおかしい。運営の方針を出すところが会計責任を負ってもらわねば、責任のとりようがない。県が絡むかぎり、運営の固定経費を何らかの形で予算化してほしいが難しいようだ。

 だんだんと県営論がトーンダウンし始めた。トーンダウンしたとしても、新組織のトップは県企画総室長を当てるように考えているようで、これではやっぱりユーザー主導にならない。

 いろいろと考えた。運営を県が行い、かつ会計責任もとるが、運営方針や指針を民がとれる組織はないか?類似団体はないか?

 あった、教育委員会とその事務局がそういった性格のようだ。

 民間人から構成される情報委員会と、実際の運営事務を執り行う行政側主体の委員会事務局を設けてはどうか。情報ネットワークの運営はますます専門知識が必要になっており、すごいスピードで発展する技術進歩にあわせたシステム整備、サービス開発は決して片手間ではできるものではない。専属で常に周囲を見渡しメーカーなどと交渉できる専門技術と、社会システムとして他の仕組みと連動させる政治家的統合性が要求される。これはもう一人では担当できる範囲を超えている。チームが必要で、安定的にそれらを組み合わせ遂行できる事務局の存在が必要になる。それは教育における教育委員会事務局に相当する専門専属組織になるだろう。

 そして、その組織が不偏不党で、市民本位、ユーザー本位に運営されているかどうかを監視し、かつ、地域の情報化のあるべき方向を指し示す識者で構成される「情報委員会」をさらに設置する。委員は情報化の専門家である必要はなく、いわばレイマン・コントロールであるだろうし、その任命は教育委員同様に民意で選ばれた知事によって任命され、議会承認を得る。委員会事務局が任命者であってはいけないのは当然のこと。

 地域の基盤情報ユーティリティを握るものが、SF世界では独裁者であったり、民主主義を脅かすものであったりするが、世界的規模の本格的市民利用情報ユーティリティが手の届くところに見えそうな状況になった昨今でこそ、そのことを考える時期がいよいよ来ているのではないだろうか。

 地域の情報化は各省庁別に進められるべきものでもなく、また各行政からも中立である必要がありそうだ。当然ながら、行政や株式会社が運営する情報ユーティリティも地域にあってしかるべきだが、それらが地域内で完全独裁にならないように、市民に息苦しくならないような仕組みがあってほしい。その保証としての情報委員会があってほしい。かつ、情報ネットワークが世界を動かし、体制を壊していく現実をベルリンの壁や北京の騒動で体験してきた今、その威力を知った今となっては、情報化の進展状況をただ無雑作に見守っているだけではもったいない。民主主義を育て、地域を生かし、主体性のある地域住民を育てるためにも情報ユーティリティ整備を先行的に進める組織が、地方であればあるほど望まれるはずだ。

 つまりは、情報委員会と情報委員会事務局という考え方があっていい。

 そう思い、後藤カイチョーに話してみた。

 「うん、おもしろい。そうなると本当に私達の役目が終わるね。大分が全国に先駆けて『情報委員会』をつくるのもおもしろいね。しかし、皆がわかるかなぁ」

 と、つぶやく。

 案の定、県や地域総合ネットワーク研究会の人達に説明してみるが、唐突すぎてどうも馴染まないようだ。そもそも県が運営した場合の〝「市民本位」が難しくなる〟ことが理解し難いだろうし、ホストを設置すれば黙っていても使いたい市民が使うという考え方も一部あったりする。

 誰かが反対しているということでは決してなく、あまりにも現状の体制から数段飛び出した案のため、軟着陸が難しい。影も形もない「情報委員会」を県の本格的組織である「教育委員会」に並べて議論するのだから、落ちつかなくなるのも当然だろう。県の考えをまとめる情報化推進室の武田室長や担当の山戸康弘さんは、私の考え方を聞けば聞くほど間に入って困り果てていく。運営費の問題も片付かないこともあって、どうしたらよいのやらすっかり困惑状態。

 結局、二月に行われた第二回めのハイパーネットワーク会議である「ハイパーネットワーク別府湾会議`92」に忙殺されて、運営体制だけは結論が出ないままその年度が終わってしまった。



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