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やめるにやめられない

 

 そいう会話を交わしている最中であってもハイパーネットワーク社会研究所をつくろう、という動きは進められていく。東京では「ハイパーネットワーク社会研究所調査委員会報告会」が霞ヶ関ビル三十三階で、公文俊平、今井賢一、月尾嘉男、浜野保樹の各先生方、平松知事などが勢揃いして多くの企業やネットワーカーを集めて行われた。

 県からは研究所を大分につくった時の波及効果を箇条書きに考えてくれ、と話があった。大分の人達に研究所をつくることのメリットを訴え、賛同を得なければならない。で、思いつくままに地域エゴではあるが書き出してみた。

 

研究所の波及効果

1.全国をマーケットにする研究開発力ある、企業誘致のきっかけ。

2.大手地場進出企業との共同研究効果期待。

3.別府湾岸に位置するテクノポリス企業群と別府市、大分市の企業群を結び付ける交流の場、産学官の交流の場を期待。

4.地場情報産業の振興

 既存地場企業との共同研究、開発、既存地場ソフトハウスなどへの外注仕事の発生。地場企業の新技術、新知識、アイディアの泉のもと、新技術、新知識への積極的、かつ、国際的な早さでの入手。

5.全国的・世界的著名人、知識人の来大分。

 公文俊平教授の大分への定住、短期滞在(リゾート&リサーチ)者でリゾートオフィス研究。別府の全国への「リゾートオフィス最適地」としての売り込みチャンスに。

6.国家レベルの研究開発費の定量的大分受け入れの可能性増大。

 場合によってはNTTなどの先進的大規模実験投資を誘致。先端的技術・製品の実験センターや光ファイバーを敷設した先進ネットワーク実用実験場としてのインテリジェント・タウン構想を誘発。

7.新産業分野の起業化。

 ハイパーメディア、マルチメディアを融合、マスメディアを融合することから生まれる、新メディア産業、新映像産業、新芸術産業を期待。また、トランザクション・サービスの社会インフラ化による新しい産業発足の可能性。新型の地域VAN事業に発展。

8.既存大学・研究所への前向きな影響。 講師、教授陣、研究員陣の派遣、人材供給源になる。

 大分大学、別府大学、日本文理大学、県立芸術短期大学…、いっそのこともう一つ大学を!のチャンスに。ネットワーク型で開かれた研究所のメリットとして県内学生、院生、ドクターコース研究者への啓発機会に。また、全国から集まってくることを期待。公文教授のネットワークで国際大学院大学、アメリカやカナダの大学との研究交流チャンスを。

9.国際的頭脳会議の定期的開催メリット。

 ハイパーネットワーク日出会議の定期開催は、ハイテク大分を有名化。かつ、会議観光都市イメージの定着。実質的観光客の誘致。

10.第三セクターのテーマパーク「ハーモニランド」への新技術新趣向設備の取り込み実験メッリット。

 ハーモニランドの新設備拡張、発展につながり、子供達への積極的、先端的情報化教育の恒常的場の確保となる。

 

 そして、これらを意識しながら大分経済同友会の「別府湾岸ビジョン」の提言づくりに参画し、別府湾を見おろす丘にソフトパークのような、しかし、月尾先生のいうリゾート&リサーチを意識した「リサーチ・ヒル」を構築するよう促した。この案は温泉観光都市別府に新産業である情報産業の若い従事者をUターンさせつつ、温泉観光にリゾート観光を重層的に取り込むチャンスとして別府市から好意的に受けとめられた。

 さらに県から、研究所実現のために研究内容をさらに煮詰めるべく、公文先生と打ち合わせをしてくれといわれる、八月の終わり、当時公文先生が住む新潟の国際大学に会津さん、藤野君と出かけていった。そして話し込めば話し込むほど、私から見るとコアラの行く末を研究することにほかならないように思えてくる。


 未来のネットワークは光ファイバーで構築され、音や文字だけでなく映像までが自由にやり取りできるようになったとしたならば、パーソナルメディアとしての電話は当然ながらテレビ電話となり、電子メールはビデオメールとなるだろう。また、マスメディアである新聞やTV、映画も光ファイバーで家庭や職場にやってくる。しかし、未来のネットワークは、いまパソコン通信でその可能性と威力を感じさせる電子会議などの〝グループメディア〟こそが中心であってほしい。誰もが自由に発言するチャンスのあるメディアを中心に据えることこそ民主主義の第一歩であり、一極集中を排除するものであるはず。グループメディアを中心に、マスメディアやパーソナルメディアが融合し、統合されてユーザーが利用できることこそ未来社会ではないか。

 今後のネットワークでは、次々と新展開が起こってくることが予想されるので、個人の個別契約では追いつかないだろう。新聞社だってテレビ局だって何種類も出てくるし、ビデオメールだって届く範囲をメーカーや国、制度の枠を超えて増え続けていく展開が常にあるはずだ。電子会議コミュニティも世界中に連ねられていくだろうし、新しいコミュニティが新しい参加方式で提案されるだろう。先進ユーザーだけでなく、ごく一般の人達も利用の申し込みができる統合情報サービス体が欲しくなってくる。光ファイバーを一本だけ引き、申し込みは一つだけでよいという、「One policy,One network」というユニバーサルサービスが再度叫ばれる。

 その統合情報サービス体は、残念ながらコアラの事例でわかるとおり、当初はそう儲かるものではい。大都市ではいざ知らず地域・地方では採算上成立し難いはず。そのため社会資本として中立的に基盤整備され、ユーザーやサービス提供者が共同利用するという方式が浮かび上がってくるはず。

 しかし、統合で情報の経路の大部分を握る可能性があるがゆえに、その運営は透明性・中立性が強く求められ、不偏不党、完全情報伝達の保証、サービス利用の保証、ひいては民主主義の擁護を力強く保証する形で運営を行わねばならない。株式会社方式や完全官営方式を越えた、いや、それらを融合し、かつ、最終ユーザーである市民サイドからのリードがあってこその運営が望ましいはずだ。つまりは、増田米二氏の情報市民公社そのものだ。コアラ内では「情報生協」という言葉も出てきたが、そういった新しい運営体が地域にあることがいち早く築くことになるだろうし、居心地のよい未来社会を導き出すはず。社会システムとしての地域情報市民公社(RIU)の実現とその運営方法、組織確立方法がハイパーネットワーク社会研究所の中心的関心事であるはずだ。かつ、それらの各地域のRIUを横に連ねて、日本列島を電子列島NIU(National Information Utility)として形成、さらには世界に広がるGIU(Global Information Utility)に拡大することを願うことになる。

 こういったことをまとめ、九月はじめ、公文先生が通産省棚橋次官に研究所設立のお願いに行くのに同行した。

 コアラの運営で悩んでいる私は、それでもRIUへの第一歩を踏み出すことを求められているのだろうか?



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