post146:郵政省、パソコン通信=エンジェル端末を投入

郵政省、パソコン通信=エンジェル端末を投入

 

 また、郵政省も間接ながらパソコン通信を取り入れる政策を行ってきた。

 郵政省ではNTTの104番号の問い合わせを有料化するのに伴い、利用者へのサービス向上を他の方法で図ろうと検討していた。その担当者である郵政省電気通信局電気通信技術システム課の大須賀克己課長を会津さんから八九年末に紹介された。大須賀さんは電話番号問い合わせ用の電子電話帳専用端末(後日〝104エンジェル端末〟として配布される)に関して検討していて、一般的なパソコン通信利用者の感触を知りたがっていた。また、九〇年四月から開催される「電子情報通信サービス研究会」の地方委員の一人として参加してほしいといってきた。

 その研究会は、NTTが配布予定のエンジェル端末や民間で開発した類似端末などが国内で普及がすれば、結果的に大きな104番号問い合わせユーザーグループが出現するだろうし、フランスのミニテルのようにそこに焦点をあわせた新サービスが出現してくるだろう、といったことを検討するという。座長は、東京大学の大型計算機センター石田晴久教授。

 104端末は、初年度十万台、次年度十万台、最終年度五万台の計二十五万台がNTTより配布されるという。私としては、コアラにアクセスできる通信端末があちらこちらに配られる、と当初は大歓迎の気持ちだった。

 しかし、世の中、そう甘くはない。

 公正取引委員会が、高機能、または汎用性のあるものを広く無料配布すると公正競争を阻害するので許可しない。許可される場合でも、極力単機能のもののみで、エンジェル・ホストへのアクセスはできてもコアラへのアクセスは完全にはできないものだった。

 九〇年九月の委員会の時に、私は地方からの視点を交えながら次のような意見を出した。

 端末機の配布方法は電話加入者数比で配布されるというが、電話加入者数でも人口比でもなく、面積比(!)で配布して、地方マーケット優先策を行ってほしい。

 またこの端末機は、ディスプレー付多機能電話よりは柔軟性があるようだが、パソコンのような双方向機能が強くない。ユーザー側からアルファベット、数字程度は送れても漢字などは送れない。パソコン通信のような本質的双方向性は持たず、表示されたことに対して選択指示する程度の双方向性なので、利用方法としては一方向的な情報提供サービスやトランザクション・サービス程度になると思われる。今後、この端末を用いて考えられる新サービスは、「職業別電話帳、かつユーザーよりの情報提供・広告サービス」だろう。ロスアンゼルスの、BUYーPHONE方式を組み合わせたものを提案したい。NTTは職業電話番号案内システムとしてCUPID とよばれるシステムを実用化中のようだが、これは電話番号登録者が自分の会社や店からパソコン通信をするのと同じやり方で、自分の店や会社の電話番号に商売内容などといった広告事項やキーワードを自由に付加できる機能を加えるというものだ。そうすればユーザーは買いたい品物の名前で電子電話帳を使えるようになる。さらに、電話番号掲載者の広告代は定額月千円程度、広告掲載のないものは無料掲載とすれば、広告掲載者も番号を問い合わす者もみな利用者になって、新しい大きなネットワーク利用層が出てくるに違いない。そうなると、そのまま品物の注文や予約ができたり、料金の決済ができるようにしてほしいといった要望もすぐに出るだろう。

 将来、ISDNが普及すれば、一回線でBUYーPHONE検索をし、同時にもう一回線の音声電話で先方企業とコミュニケーションを取れるようになるだろう。さらに進んだ高速ISDNになって、映像広告も各自がパソコン通信感覚でアップロードできるようになると、もっとおもしろい。映像つきコミュニケーションで相手の状況を確認できれば、受発注がそれだけ安心で手軽になるだろう。こういった、「BUYーPHONE検索とエレクトロニック・バンキング」の組み合わせが本格的なエレクトロニック・ショッピング・モールを実現させるように思う。

 キャッチフレーズは、「あなたも電話を持てば、自由にショッピング・モールに出店できます!特別なホストコンピュターもいりません。電話がついた日から売出中!」「あなたのつくった広告を自由にいつでも掲示できます、いつでも最新のモノにあなたの事務所から変えられます。」「『あなたは何が買いたいですか? 品物の名前を入れて下さい。』に応えれば、数あるお店をすべて調べられます!そして、その場で買い物OK! 」などがよいだろう。

 そして、既存の情報サービス体(パソコン通信センター、キャップテンなど)が付加サービスの一つとしてゲートウェイで利用できるよう整備してほしい。こういった整備がNTTをマルチメディア時代のコモンキャリアにさせ、付加価値のある新しい社会システム、新しい社会インフラを浮かび上がらせてくれるのではないか、などなど話した。

 また、大分ではユーザーが情報の消費者という立場だけでなく、情報提供者・書き込み者であるようなアプローチで情報通信インフラを考える「ハイパーネットワーク社会研究所」をつくろうと話し合っているので、ぜひご協力をお願いしたいということも述べた。

 こういったチャンスを生かしては「ハイパーネットワーク社会研究所」のPRを行っていった。

 そして、九〇年十月にエンジェル端末を一般配布する前に、実際の地方ユーザーの声を聞こうと、研究会の事務局とNTTの担当がコアラの例会に現物を持って東京からやってきた。例会では、わいわいがやがや、さまざまな意見が出て、エンジェル端末にマウスがついて欲しいなどと、奇想天外なものまであったりした。

 NTT側にもコアラ側にもメリットがあったのは言うまでもない。


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