post143:サンタモニカのPENと電子会議交流

サンタモニカのPENと電子会議交流

 

 サンフランシスコのENAの大会は終わり、今回の旅行のもう一つ大きな仕事に出かけていった。平松知事と大分青年会議所の親書をサンタモニカ市長にお届けること。コアラは「日本で最初の第三セクター方式のネットワーク」ということで注目されているが、サンタモニカのネットワークPENは「アメリカ最初の自治体が運営する地域ネットワーク」として大きく注目されているし、日本からの見学者が多いのも有名。そこで、両者を取り持てないか? と、リサ・カールソンさんと会津さんがサンタモニカ市情報部長のケン・フィリップスさんを連れて八九年五月に大分にやってきて、大分青年会議所やコアラメンバーとセッティング、彼はすっかり満足して帰っていった。そして一年後、今年の四月、サンタモニカ市長の親書をもって再度大分にやってきた。その親書の内容は次のとおり。

 

 拝啓 平松知事殿

 ケン・フィリップスが大分県を訪問する機会に貴殿に親書をお渡しできることを大変うれしくおもいます。

 サンタモニカの人々は両市民の間に築かれた友好関係を喜んでおり、更なる交流を楽しみにしております。

 サンタモニカは多方面において〝前進的〟都市としての評価を得ております。

 私どもの職員が、貴方がたと協力して両市民のパソコン通信の発展に寄与できることを私はうれしく思います。

 両市間の発展的交流への貴殿へのご配慮を感謝申し上げます。                       敬具

                     デニス・ゼーン市長



 確かにサンタモニカは多方面において積極的で、とくにパソコン通信は数年前から市議会議員と市職員を結ぶ電子メールネットワークをいち早くつくったりと、NHKの特集番組でも紹介されたほどだ。これを大分青年会議所が平松知事に取り持ち、その結果として大分側から知事と青年会議所の親書がデニス・ゼーン市長宛につくられた、という次第。

 デニス・ゼーン市長は、思った以上に若い。三十三歳。知事の親書を手渡し、型どおり、これからの交流発展を期待する旨を発言。昨年ロスアンゼルスで行われた一村一品フェアのことを説明しつつ、お土産の竹でつくったハンドバックを手渡すと、物めずらしそうに開けていた。

 「実は私のハネムーンはサンタモニカだったので、もしかしたら私の最初の娘はメイド・イン・サンタモニカだったかもしれません」っていったら大笑いしてた。と、いったところで、握手して記念撮影。

 これで終わりかと思ってたら、ケン・フィリップスさんはそそくさと隣の部屋に我々を導いた。シティ・マネージャのジョン・ジャリリーさんを紹介してくれた。ふーむ、どうやら実質的な市の運営はこの人が行っているようだ。市長は名誉職に近いって話は聞いていたが、このゴルバチョフ氏と似た顔つきのジョン・ジャリリーさんと話していると本当にそう思えてしまう。市職員も彼に対して市長に勝とも劣らず敬意を表している様子。

 コアラは日本で最初の自治体がらみのネットワークであること。知事のみならず、最近では国会議員もメンバーにいてコアラはちょっとした民主主義実現手段の新しい実験場になりはしないか? PENにも国会議員がいると聞いているのでおもしろい地域間交流を期待していること、実際に交流する話題として「日米アフター5の過ごし方」などが青年会議所から提案されている、などの話にもいちいちうなずき、適宜質問してきたた。

 この時には、市民ユーザー代表の一人として、ディスクジョッキーが仕事というケビン・マクオーエンさんも同席していて、ついつい話し込んでしまった。

 この会談を終わって、それこそ正式交流締結となったようだった。

 それにしても、本当にパソコン通信ネットワークが市民生活に根づいている。コアラも大分で相当に評価されているが、PENのように市役所の公式窓口がパソコン通信内に設けられているわけではない。PENでは市民から電子メールで問い合わせや依頼があると二十四時間以内に何らかの返事を出す決まりになっているとのこと。また、図書館には公衆端末が用意されていて、パソコンを持っていない人でも仲間外れにはならない。

 それだけに行政とよく密着していて、電子会議のテーマも時事性が濃く、今もっともホットなテーマは、ホームレス。そういえば、ホームレスの人をとても多く見かける。暖かいサンタモニカを慕って内陸からどんどん流れ着いているようで、ベンチは夕刻から全部占領されてしまうし、海岸沿いの芝生付近もほとんどそういう人達だらけ。あの健康そのもののホットパンツ姿のお嬢さん達はどこにいるのだろう?と首を傾げたくなってしまう。

 「どのくらいいるの?」って聞いたら「誰にもわからない、数千人かな?」という返事。場合によっては無料の食事を用意したり、天候によっては宿舎のことも考えたりする。それが数千人単位だから深刻な問題になるのは当然のこと。

 夕刻、市議会が始まると、そのメインの議題がやっぱり〝ホームレス〟。そして、傍聴席の後ろの方に一塊のグループあり。実は、パソコン通信ネットワークPENのユーザーの人達だった。彼らは、電子会議で議論されていることと市議会の議論内容をドッキングさせているようだ。パソコン通信が市民運動と市民生活に自然にとけ込んでいる。これにも感心してしまった。

 PENとの電子会議交流は、どうやって通信費を負担するかなどの解決すべき問題があって、実際の開始はそれから約一年半後の九二年一月一日からになる。



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