post137:ハイパーネットワークをつくろう!
ハイパーネットワークをつくろう!
一方、公文先生は、バンクーバーからシアトルに移転し、アメリカのネットワーク状況について調べ、精力的にコアラの「ネットワークコミュニティ」会議室にその状況を書き込んでくれた。
この会議室は、大分での全国大会以降、東京での大会、仙台での大会、富山での大会、滋賀での大会と、当時の問題点を誰ともなく書き込んでいて、コアラ運営、地域ネットのあるべき姿、理想のネットワークづくりなどに対して重要なシンクタンク機能を果たしている。
公文先生は、その一連の動きとして、オハイオ州クリーブランドのフリーネットの状況や、アメリカの地域電話会社の一つパシフィック・ベル社が一般市民のために企画した、〝Electronic Citezenship〟というテーマの研修テキストなどを、英語が障害になっている私達のために日本語に翻訳しつつ解説してくれた。
両者とも地域ネットのあるべき姿や、その運営方法などに公共性や市民性をいかに取り入れるかを正面切って議論しており、「パソコン通信を地域の社会システムとして整備していこう」という我々にはおおいに共感するものがあった。コアラ内はたいへんに活気づき、日本でならこうではないか、ああではないか、と議論が起こった。公文先生はその内容を再度英語に訳し、クリーブランド・フリーネット会長トム・グルンドナー氏にメッセージとして送ってくれた。すると、どうであろう、彼らから折り返し二通の返事がきた。国の違いがあっても、地域を大事にする姿勢に大いに感動したし、興奮もした。そして、日本も(または大分にも)フリーネットのような研究組織があることが望ましいなどと会議室に書いたりした。
豊の国ネットワークの部分開通が一ヶ月後に差し迫ってきた。正式には、キャプテンなどへの対応を終わらせる九0年三月が完成日だが、八九年十一月中旬には、パソコン通信部分(=コアラ部分)だけは開通することになった。
そのこともアメリカの議論と絡ませて、次のステップを模索するきっかけになってきた。で、私は次のような書き込みを行った。
「ハイパーネットワーク」、「ハイパーコアラ」を創ろう!
十一月中旬に、豊の国パケットネットワークと称して、大分県内どこからでも市内電話料金でコアラができるプライベート・パケット・ネットワークが、ふるさと創生資金で開通し、来年三月末には、このパケットネットのホストとして、県庁のホストがつながったりで、トータルで大分の情報化を見ますと、
┌コアラ・コミュニケーション・サービス
│ (電子メール 電子会議)
│
├コロンブス・中小企業データベース
│ (文字情報データベース)
│
├オリオン・研究交流ネットワーク
│ (科学技術庁の事業、コアラホスト利用)
豊の国パケットネット─┤
├県庁ホスト統計数値データベース
│ (数値情報データベース)
│
├キャップテン(絵情報データベース)
│
└ゲートウェイ(TYMPAS、Tri-Pによる)
といった構図になって、大分の情報化も一段落つくような状態になると思っています。
いままで、データベースとコミュニケーション・サービスが棲み分けられていた状態を、全体で一つというインフラ的考え方が受け入れられた、というようにも思っていて、これも皆さんが精力的に情報化に取り組んだ結果であって、日本のどこよりも早く、情報社会のインフラ整備が進んだ、と考えています。
更に、NTTさんがいち早く来年早々には、そういった状況を踏まえて、大分県内にパソコン通信用モジュラージャックを備え付けた、カード式公衆電話を設置し始めます。
これがあると、公衆電話から、自由にコアラできるわけであって、最近のノートブック型モデム内臓パソコンの普及に充分対応できることになります。
(ちなみに、この公衆電話機のアイディアはコアラからNTT大分支社に持ち込まれ、実現されたもので、九州内あっちこっちにも設置されます)
つまり、ひと昔前に、
「あれが未来の情報社会だよ。誰でも自宅や会社から情報を自由にハンドリングできるんだよ」
と書かれていた、〝未来図〟そのものの姿が出現してしまうわけで、今後はこの骨格に〝手直し〟と〝肉づけ〟をしていけばよいことになります。
例えば、お金の決裁機能をコアラに持たせたり、FAXをくっつけたり、図書館データベースをつくったり、企業通信的な半二重の通信をサポートしたり、、、全部このインフラがベースになるものと思います。
しかし、ここまでくると、また向こうに新しい山が見えるのは当然の事でありました。
ISDNが身近に感じられ始めたことにも要因があります。
また、特に最近、パソコンそのものの進歩が著しいことにも要因があります。
パソコンが、〝ハイパーメディア〟と呼ばれるようになってきてとてもおおきな発展が始まったように思います
皆さんご承知の通り、今や、マッキントッシュは、テキストデータのみならず、動画データまでも自由にキリハリできる、プロセッシングできる状態にまで発展しつつあり、初期のコンピュータネットワーク端末としての枠組みを概念的にオーバーしそうな状況でもあると思います。(なんやかやいっても、今までのネットワークは、テキストデータを主体に、テキストに付属するバイナリーデータを扱い始めたに過ぎなかったのではないか)
つまり、端末側は、まさに、ハイパー端末になっていきつつあるのですが、その割には、ネットワーク側の進歩が遅い。
で、我々の次に目指す山の一つは、それらのハイパー端末を自由に扱える〝ハイパーネットワーク〟、〝ハイパーコアラ〟であって、
例えば、ハイパーコアラにアクセスして、
高松館長の〝さかな会議〟のなかから、「城下カレイはなぜおいしいか?」という人口知能的質問に応えさせるべく検索作業をウラ作業でおこなわせつつ、その結果が出るまでの間はじっと待つのでなく、喫茶コアラで先月のコアラ例会の模様をビデオ画像をバックに読んでいく…すると、ハイパーホストが、「***さん、魚会議の中で結果がでましたよ」って割り込んで教えてくれる。さっそく、その結果を見せるように指示すると、〝おいしい〟と判断されるようなフレーズが用いられている発言が整理された状態でリストアップされてくる。それを読みながら、「では、こちらもアイディアを、、、、おいしく見せる配膳の方法を提案」ということで、ちょこちょこっとハイパー端末でグラフィク図形を注釈ともども書いて、それらのレスポンスとして新しく掲示する…。
といったような近未来的なことから、存在的にも〝いつでもどこにでもその受け口があるが、より目に見えない状態〟であるように整備すること。例えば、〝情報コンセント〟、〝ネットワークコンセント〟、〝公衆コンセント〟のより拡大、等々、いろいろあるように思います。
多分、我々はそういったことを考えつつ、新しいハイパーコアラを創ろう!ということになるのでしょうね。
この意見には、さまざまな人が共感してくれた。
別府大学の客員教授に就任していた公文先生が、この発言の直後の八九年十月末に、その公開講座開催のため大分に帰ってきた。
公式の行事が終わった夜、久しぶりの日本での食事、とくに魚料理をということで二人で別府のお寿司屋さんに出直し、フリーネットのこと、ハイパーネワークをつくろうということ、オンライン大学構想のことなどを夢中になって話した。おいしいお酒と、おいしい魚、おいしい議論、文句のつけようがない。未来のネットワーク社会が少しづつ垣間みえるようで、すばらしい気分で酔ってしまった。

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