post134:情報道路『豊の国ネットワーク』構想

情報道路『豊の国ネットワーク』構想

 

 早速、私は、翌日、芳山副知事に会い、その旨を説明したところ、

 「趣旨と原理はわかったと思う。

 では、それを一枚の紙に書いて持ってきてくれ。

 今までも模索はしていたが、意外と安くできるんだな」といった状況になってしまった。知事も芳山副知事から聞いたところによると、

 「全県ネットワークは前から考えていたことでもあり、おおいに結構だ。ふるさと創生事業はとてもいい。各市町村から少しづつお金を出し合って、大分県は全市町村で一つのふるさと事業を行うのは、真に大分らしい発想ではないか。しかも情報通信関係であるならば、なおさら大分らしいだろう。畑先生がそういってくださるなら本当そのに実現できるだろう、マエムキにやってみよう」ということだった。

 さて、ここからが、いま考えるとおもしろい。

 私は、実際にどうやればできるかを県庁電算課の人達に説明する資料づくりに奔走する。電算課は電算課なりに、私とは別にそのシステム技術を模索する。で、一堂に会して話し合ったところ、電算課がたまたま持ち出した技術はNTTのISDNを県内に引き回した共同利用方式で、やっぱり以前の数億円単位の構築費。一億円に満たないかもしれない私の提案「豊の国プライベートパケット通信ネットワーク」に不思議そうに首を傾げる。そこで、インテックやNTTの技術者を立ち会わせ、その妥当性を保証させると、ようやく納得。しかし、「民間のコアラのためにだけの全県ネットワークは提案しにくい」という話。

 おかしなもので、民間(インフォーマルセクター)のコアラを科学技術ネット(県庁と科学技術庁のフォーマルセクター)が使っていても、やっぱりコアラの民間・任意団体扱いは変わらないようだ。当時の県の情報化パンフレットにも、株式会社のキャプテンは載ってもコアラは載らないという扱いであったし、情報化先進県をPRする時や、次世代情報化に関しての事項でのみコアラが出てくるという中途半端な扱いであって、そのコアラのためにだけでは説得力が弱い、ということらしい。「電算課からそう言われた」と、畑代議士からも連絡があった。

 それならと、情報公開制度にしたがい、昨年つくった情報公開用のホストコンピュータシステムをパソコン通信ネットワーク用に変換提供することを提案した。これも当初は、技術的に無理だろうという雰囲気だった電算課も、私と富士通技術者が目の前で討議して安価にできることを保証していくと、みるみる安堵していく。これはおもしろいものができるゾ、という期待感さえ感じられてくる。

 技術的には何のこともなく、大型機の〝絵・グラフ入りの情報公開データで半二重通信のプロトコル〟を回線ごとにパソコンを入れて、そのパソコンで低レベルのプロトコル変換(絵を数字に、半二重を全二重に変換する)を行うというもので、結果的に統計数値データベースとなり、かつ、ユーザーの指定によって対前年度比等を加工計算してくれるものとなった。大分では朝日新聞から抽出した最新数値データを、コアラと同じレベルで入手できるシステムが出現できることは画期的なことだった。これこそ、大分の情報通信基盤の底上げにほかならない。

 しかし、まだ問題があった。バランスの問題である。

 湯布院ニューメディア祭でわかるように、大分はキャプテンサービスでも先進県として認知されていた。そのキャプテンだけが全県アクセスできないと困るというのである。これは困った。キャプテンのプロトコルは日本独自のものであり、世界の標準ではない。したがって世界標準のパケット通信技術では救いようがない。かといってキャプテンの永松秀敏専務の顔が浮かんでくるし、何かよい方法がないか、、、、。苦しんでいるのを見かねてインテックが提案してきた。

 「何とかしましょう。キャプテンは下りのデータは4800ボー、上りのデータは75ボーなんだから、パケット通信の二回線でキャプテン一回線をサポートできるよう技術開発に取り組んでみましょう」

 という。これはありがたい。これはまたおもしろい技術だ。早速それでいくことで、関係者で納得した。

 内側の動きとは別に、外側でも脱帽したくなる運動が行われていた。まずは畑代議士である。

 法的に問題ないか、郵政本省にキチンと先に問い合わせをしてくれていた。データ通信課の吉田靖課長から私にも電話があって、その詳細を聞き取り、畑代議士に「利益目的ではなく、NTTの専用線を借りて住民のための回線を用意するのは問題ないでしょう」という主旨の返事を返していた。

 これで気をよくし、畑代議士は県内の大分市以外の市町村長に会うたびに

 「市長の所はニューメディアといっても縁が薄いだろう。そりゃぁ、大分市まで電話せにゃならんし、電話代が大分市以上にかかっては市民もさみしかろう。だからこれを一緒にやらないか」

 と常に話しかけてくれた。すごい説得攻勢だ。その説得で、役場内に話が通っても、今度は担当者がパソコン通信を知らない、コアラをしたことがない、ということでまた話が止まる。そこで今度は県庁電算課の皆さんの出番。彼らいわく、パソコン通信っておもしろいよと、〝パソコンを背中に背負って県内巡業〟が続いたのである。こうやって各市町村が足並みが揃うようになる。

 そして止めは平松知事。ことあるごとに「全県でふるさと創生事業をやろう、情報道路を作ろう」と呼びかけた。

 これだけやればできないはずがない。いや、ここまでしっかり説得が行われていて、どうしてできないことがあろうか?

 大分にこの「豊の国ネットワーク」ができてから、多くの自治体が見学にきている。技術的にはそう難しくないものであるにもかかわらず、なかなか他県ではできなかったのは、市町村長を口説く代議士やパソコンを背中に背負う県庁職員、ビジョンをしっかり示す知事などが揃っていなかったからだろう。まことに脱帽の思いだった。

 


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