post133:県境がネットワーク社会の〝辺境〟地帯に

県境がネットワーク社会の〝辺境〟地帯に


 しかし、これは新たな問題を生みだした。

 大分市から遠くに離れている県内の地域が取り残されてしまったのだ。

 Tri-PやTYMPASは、全国主要ノードにしかアクセスポイントを持たず、つまり、大分県では大分市にのみアクセスポイントがあって、大分市から遠く離れた中津市や日田市、佐伯市などには何のメリットもない。むしろ、一番遠い日田市は一時間二千四百円の電話料金であって、東京の八百円の三倍も遠いところになってしまった。

 これでは納まらない。昔、東京より安いアメリカへの通信料金で感じた「オレは日本人か!」と同様に、きっと日田の人達は「オレは大分県人か!」と感じているはずで、コアラ事務局担当としては居ても立ってもおれない気持ちになってしまう。

 思えば全国のネットワーカー達は大概、県庁所在地近郊に住んでいる人達が多いようで、「県境はネットワーク社会の〝辺境〟地帯」であることを今さらのように思い知ることとなった。

 で、何かよい方法はないか?

 県内主要地域に専用線を引っ張り、コアラ利用者には最寄りの地域までせめて一時間八百円以下のアクセスが準備できないか?

 当時、県の外郭機関で大分県中小企業振興会議という公式の提言機関があり、コアラメンバー佐藤友之君のお父さんが情報部会の部会長で、私は副部会長に任じられていた。

 で、八八年の秋に提出したその提言に、県内主要地域、または県境地域、県外で利用頻度の高い地域(東京、大阪、福岡)に専用線を用意して、コアラへのアクセスを低額で保証する情報通信基盤をつくるようにお願いした。

 一方、そのための裏づけの技術も模索した。とくに、Tri-P、TYMPASという個人利用VANが実際に世の中に出てきたことは、私にとっては利用できる技術がもう一つ身近になったということで、それらの技術による自営VANシステムを勉強した。すると、今までは値段的に不可能と思っていた(過去に何度か定期的に調べていたので)数億円単位ではなく、県内は一カ所数百万円単位で実現できることがわかってきた。インテック、ネットワーク情報サービスの両者も、アメリカからそのためのパケット装置を輸入し始めたので、安く構築できるということだった。

 これはいい、急に目の前が開けた思いであった。

 そういった裏づけを得て、ことあるごとに平松知事、芳山副知事を含めて多くの方々にPRを行った。皆さん、それなりに納得してくれはするが、お金の出所がやっぱり難しい。

 しかし、世の中、念ずれば無から生まれでるものもある。

 おりよく「ふるさと創生資金」なるものが出てきた。

 各地は、アイディア合戦で、その地域らしいふるさと創生事業を模索していた。大分もその例にもれず、私がアンカーマンの「サンデー大分」でも年明けには特集が組まれたりした。当時の由布企画総室長(元広報公聴課長)は大分らしいものが出てくるように、番組の中で「各市町村をあおってくれ」と再三念を押してきたほどだった。

 私もこの〝懸賞金〟を何とか使えないか?と考えるようになる。

 そんな時期の八九年二月五日、衆議院議員の畑英次郎代議士がゴルフに行かないか?と誘ってくれた。時には大分の若手の経営者達とゴルフを楽しみたいという。

 ゴルフをしながらのよもやま話は、当然、注目のふるさと創生事業に話がいってしまう。とくに、当時、畑代議士は竹下さんの創生会の一員であったし、この五月には竹下総理大臣が大分に来て湯布院で〝ふるさと創生塾〟を行うことが決まっていて、何か「大分らしい」事業披露をしたい、と考えていたようだ。昼食時、コアラの話やパソコン通信のおもしろさ、有用性に話がいったところで、満を期して、

 「これこれしかじかで日田にアクセスポイントを設ければ、日田の人だってニューメディアの恩恵にあずかれますよ。しかも一カ所つくるのに、このぐらいの安さでできるようになりましたが」

 といったところ、急に目が輝いて

 「おお、それはイイ。どんなことがあってもそれを実現しよう。

 どんなことがあっても、やってくれ。

 日田の方は任しとけ。私の名前をどのように使ってもいい。

 必要なら、スポンサーも探してきてやる!」

 と、もうそれはすごい力の入れようで話はじめてきた。しかも帰るまでに何度も念を押されてしまった。

 考えれば当然のことで、畑代議士は昔、日田市の市長、日田が大分市から如何に遠いか、電話代がいかに高いか、を身を持って知っている。日田市は郵政省のテレトピア指定を受けているが、どうもいま一つニューメディアに縁が薄いことを気にしていた。「ふるさと創生費+電話代の高い日田市+郵政管轄の情報通信事業」の三つを組み合わせた「大分県内を一円に市内電話料金でカバーするパケット通信網」をつくるという事業が浮かび始たのである。



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