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国がコアラを公式利用
パソコン通信のもっとも早い公式利用は、やはり国からだった。
西瀬戸経済圏が始まる前、通産省は省内ネットとしてレッツ・ネットををつくっていたし、郵政省はパソコンネットワーク研究会委員の意見交換にNIFTYーServeを使っていた。
コアラとの縁で考えるならば、八八年四月二十五日から始まった「日本の貢献フォーラム」が何といってもおもしろかった。
これは春のネットワーキングフォーラムや、秋の大分フォーラムで大活躍していた通産省大臣官房企画室の中野さんの部署が考えたもので、
「経済大国になった日本は世界に対して何ができるか?日本が考えるべき地球問題はどんなことがあるのか?」
を考えるもので、座長は公文教授。通常は、こういった審議会は東京在住の方々を委員にお願いし、そこで答申を得て行政に反映させるのが当たり前で、発想そのものが東京在住型、東京集中型になるのも無理からぬことであっただろう。地方の視点が入る余地があまりなかったわけだが、これを打ち破るためにパソコン通信ネットワークを使おうと、中野さんらしい発想でnifty-serveや日経MIXの電子ネットワークを使い、一般人からの意見募集を行うことにした。さらに、その二つのネットは東京にホストがあるネットなので、地方からの普段の意見収集のためにコアラをも正規の審議ネットに指定された。通産省の会計からコアラ使用料も払われ、まさに国の公式利用だった。
コアラでの議長は大分県日田市出身で富山大学の桂木健次教授が担当し、東京で考える国際交流、国際貢献とはひと味違って、スケールは小さいかもしれないが、大分在住OLの松村知美さんが自分の海外旅行体験で感じた日本人観など親しみの持てる、地方在住者らしい発想の意見交換ができた。
その後、この審議会の結果として(財)地球産業文化研究会が設立された。
地方に住みつつ、東京に出かけず、情報通信を使って国の政策審議に何らかの形で参加できることは素晴らしいことではないか。イノベーションがもたらす、ありがたい電子デモクラシーに喜びを感じてしまう。
そして、電子デモクラシーのもう一つの在り方が見えたのもこの頃だった。

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