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全国大会の準備開始
考えてみれば、このように濃いコミュニケーションを行えたのも、今までの掲示板方式と違って「発言とレスポンス」という二次元会議システムの好結果として成されたのであろうし、他の会議室もシステムが安定するにしたがい、かつ、ユーザー側が慣れてくるにしたがい、より活性化されてきた。公文先生は五月の二周年例会以降、大分がすっかり気にいってくれたようでオフラインにもオンラインにも徐々に顔を出すようになった。とくにオンラインでは公文先生の登場が電子会議議論の厚みを増すことになったのはいうまでもない。この議論を全国大会にうまくつなぎたい。
平松知事は、パーティなどで顔を会わせると必ずのように、「尾野君、シンポジウムのパーティ、あれ早く秘書課にいってボクのスケジュールを押えといてくれよ、ボクも忙しいんだから」と念を押され、「はい、ハイ、分かってはいるんですが…」と、最終スケジュールを決めねばならないと焦ってしまう。
九月十日に全国大会の実行委員会が東京で開催された。
全国大会の日時は、十月二十八日、二十九日、テーマは、地方開催らしく「ワープロ/パソコン通信ネットワークによる地域社会の活性化」と決まったし、日程は、県の主催する「(A)豊の国情報ネットワーク展」と我々が主体の「(B)地域ネットワーク交流全国シンポジウム」の二つの大会をうまく折衷して、二十八日の昼からの基調講演は両大会共同とし、そのあとのパネルディスカッションは、(A)に重きを置いた第一部と(B)に重きを置いた第二部とで構成することとした。そのあとの交流パーティや翌日のシンポジウムは(B)の主催とする。主催が違っていても、県外からきた人達には終始一貫した流れに見えるようなパネル構成を考える、ということで折り合いがついた。
実質のスポンサーである通産省の中島さん、中野さん、江藤さんはすごい応援ぶりで「通産省からパネラーを出していただけますか?」という問いに「いずれにしても、何ごとにも積極的に取り組み、仮に倒れる時があろうとも、前に倒れろと教育される当社(通産省)ですから、必ず誰かが出ていきます。」と明るい返事。まだまだパソコン通信が世間に認知され得ていない社会状況でありながら、いち早く(ニューメディアの)混沌の中から将来有益になる可能性のあるもの(パソコン通信)を拾い上げ、それを本物になるよう仕上げていこうという、リーディング官庁精神そのものを感じる。ここが通産省のおもしろいところなんだろうか。
パネラーとして私の名前が上がったが、当初はそれは「いかがなものか?」と反対した。
「常々いっていることであるが、私は事務局であって決して主役ではないし、どちらかというと裏方であるべきだと思ってるんです。ネットワーキングの主役は、ネットワーキングを利用している人達で、彼らが何をしているかが今回の議論対象でもあると思うんです。よく耳にする〝シスオペ大会〟という言葉は、その点をどうクリアしているか、どうやって主役の気持ちを高揚させているのか。もし、一般ユーザよりもうちょっと主役は?ときかれたら、各コーナーの議長や、モデレータの方がイイと思ってしまう。
コアラの定例会で、パネルディスカス『議長がおおいに語る!』という、議長だけをパネラーにしたプログラムを組んだらたいへん評判がよかった。つまりは、ネットワーカの間では、ネットワーキングできることが当り前ですから、ヘビーネットワーカーというだけでは駄目で、シャバの世界で何を専門にしているか?そちらの世界でも名がとおり、ある程度自信を持ってる人か、自分の世界の効率を上げるために、ネットワークを利用している人達、つまりは、今回は、シンポジウムパネラーとして、地域おこしのリーダーや、生活者であるほうがおもしろい」
と主張した。
しかし、会津さんが、第一部のパネルディスカッションではキャプテンや他のメディアとの特質の違いを誰かが述べねばならないが、それは〝事務局長〟である私が行うべきだ、という。当時、キャプテンは公式なメディア、パソコン通信は非公式なメディア、さらにコアラは任意団体で草の根であって他のメディアと同格には扱い難い、という根強い風潮がある。それにめげずにパソコン通信のおもしろさ、フォーマルにも使える有益性などを誰かが強く訴える必要があった。
こういったやりとりを繰り返した結果、基調講演は平松知事と公文俊平教授にお願いし、パネル第一部は、
講 演 /式場 英 (NTT企業通信システム事業本部副本部長・当時のNTTの
ニューメディア政策を代表する立場と、パネラーとして参加)
パネラー/安部 豊一((社)大分県地域経済情報センター専務理事・中小企業情報ネット
ワーク〝コロンブス〟を運営する立場として参加)
永松 秀敏(大分ニューメディアサービス(株)専務取締役・キャプテンを運営
される立場で参加)
菊入 敏安(大分市社会福祉部長・在宅老人の緊急通報システムを運営され
る立場で参加)
尾野 徹 (大分パソコン通信アマチュア研究協会事務局長・コアラ、パソコ
ン通信の代表で参加)
コーディネーター/北村四郎 (総合技術工学院長・前の大分県地域経済情報センター
専務理事)
というように大分に現在する各ネットワークを横並びに説明する形態をとった。
そして、第二部は、
テーマ/「ネットワーク・コミュニティ、地域主義を越える地域コミュニティとは」
パネラー/今井 建彦((株)コミネット仙台企画システム課長)
尾野 桂子(主婦・大分COARA会員、「子育て会議」議長)
北矢 行男((株)長銀経営研究所調査企画室長)
清成 忠男(法政大学経営学部長)
公文 俊平(東京大学社会学科教授)
中野 幸紀(通産省大臣官房企画室)
宮崎 剛直((財)大阪科学技術センターニューマテリアルセンター所次長)
モデレーター/会津 泉((株)ネットワーキングデザイン研究所)
ということになって、何と、夫婦でそれぞれのパネルディスカッションに出ることになってしまって、これにはまいってしまった。
そして、当日までにオンラインで議論を先攻させようと決まり、九月十五日から専用会議をコアラやコミネット仙台などで開くことも決まった。その電子会議の議長は、公文先生、会津さんの東京組に対して、地方組で仙台の今井さん、大分からは前大分県庁電算課長の清積さん、川辺正之さんにお願いした。川辺さんは、この年の春に行われた広島・愛媛・大分の三県経済同友会の定期交流会で、私が大分側を代表してコアラの活動内容を話したのだが、それをきっかけにコアラに興味を持ち、しばらくたってパソコンを購入して入会し、本格的にコアラの通信を楽しむようになった人。新日鉄の関連会社の浜田重工の大分支店長で、地域おこしについて精力的に議論展開を行っており、今回のフォーラムに持ってこいの人であった。

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