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コアラの三種の神器
この時期、フォーマルセクターへの働きかけは、形や道具を変えての波状攻勢だった。とくに、ネットワーキングデザイン研究所の情報発信が際だっていた。
一つはもっとも古くからの手法の「本」であり、もう一つはもっとも新しい手法「パソコン・ソフトウェア」である。 まず、会津さんが十月下旬に『パソコンネットワーク革命』を出版。日米最前線レポートとサブタイトルがつけられたこの本は読みやすく、今までパソコンに縁のなかった人達が「パソコン通信」の可能性を知る絶好の教科書となるものだった。なるべく具体的な事例を出しての情報化論は、とてもおもしろい読み物としても反響があったのだが、その日本側の具体例としてコアラが前面に押し出されて紹介されており、一躍「日本の代表的地域ネット」として認知される要因になった。
ひと月遅れで、中村広幸さんが「はじめまして!パソコン通信(遊)ガイド」を出版。この本はもっと徹底していて、冒頭からコアラ子育て会議やcafeの発言内容をそのまま掲載し解説することで、パソコン通信のおもしろさを読者にわかってもらおうというものだった。後半にはパソコン通信の始め方、必要とする機器類の説明などがあって、よい入門書であった。コアラメンバーは、この二冊にコアラ入会申込書を加えた三つを、三点セットとしてよくPR用に持ち歩いたもんだ。
さらにそのひと月遅れの十二月中旬、パソコン通信ソフトウェア「ESterm」が発売された。
それまでは、マニアックでない一般の人達が通信することを前提にしたわかりやすいソフトが市販されておらず困っていたのだが、中村広幸さんが主体にネットワーキング・デザイン研究所が新・高機能・わがままソフトをデザインしアスキーから売り出した。試用版を試してみて、本当に格段に使いやすく、やっとアメリカ並になったと感激したものだった。そのマニュアルも楽しかった。またもやコアラにアクセスする事例を挙げてソフトウェアの使い方を説明しているのである。特定のパソコン通信ネットワークにアクセスする例をよく前面に押し出せたなぁと感心したのだが、中村広幸いわく「だって、コアラの内容が一番面白いし、まさか、アスキーがアスキーネットを題材にしたら他のネットのユーザーが買ってくれないだろうけれど、コアラは東京から遠く離れてて、かつ、地方にはコアラタイプのものがまだないから一番中立で無難なんだ。しかも運営も中立なネットだし」とのこと。
今までのマニュアルに比べてマンガを多用したり、巻末に用語集をつけたり、なかなかのもので、コアラメンバーは競って使ったし、この通信ソフトを買った人達がコアラを知るよいきっかけになって、これまた大ヒットであった。
これからの東京からのグッズはコアラをよりフォーマルなものへと持ち上げることになったことはいうまでもない。いわば三種の神器と呼びたかった。

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