post101:電子会議室はシンポジウムのシュミレーション

電子会議室はシンポジウムのシュミレーション


 そして、あるテーマを〟電子会議を使って考えている場合〟と、〟そうではない場合〟の違いを最初に実感させてくれたのが「子育て」の会議室で、お猿で有名な高崎山の沖にある水族館マリーンパレスの高松史朗館長によってもたらさせれた。

 六月頃に、NHKの柴田さんが高松館長を紹介してくれた。「きっとあの人ならばコアラにサイコーだよ」といわれ勧誘に数度足を運んでみた。すでに学者としての地位も名声も確立し、新聞やラジオ、TVなどでパーソナリティを生かした出演がすっかり有名になっている人であるのだが、決してきどらず、面と向かって話してみるとコアラの双方向会話そのものの交流感をいっぱいに感じさせてくれる。 相手を認め、こちらに自信を持たせてくれるような優しさがある人だった。しかも、パソコンを研究者として積極的に利用している。で、「噂になっているコアラをやってみたかったんですよ」と話され、さっそく入会しあちらこちらで発言し始めたが、その話題の豊富さに一躍コアラを代表する人物として、皆から一目置かれるようになってしまった。その高松館長が県の教育委員会主催の「子育てシンポジウム〟思いやりとたくましさを持つ子どもとは〟」に出席することになり、この子育て会議室にシンポジウムの発表内容を投げかけたのが始まりだった。「子供がもしペットをいじめたら?ペットが死んでしまったら?トンボの羽をむしっていたら、あなただったらどうする?」という質問に皆はケンケンゴウゴウ、次々に議論が巻き起こってしまった。 今までと違って具体的なテーマを持ち、かつシンポジウムという期日があるため、目的意識が強まったコミュニケーションとなって大激論。PTA、親の立場、現職の先生の立場からのみならず、皆、少なからず自分の体験を通しての意見交換であったが、この結果をもとにシンポジウム当日は高松館長大活躍。的を得た意見として翌日の新聞にはデカデカと掲載された。さもあらん、高松館長は自分の「コレコレ、こう思う」ということを他人がどう反応するか?、のシュミレーションをコアラの中で既に体験しているわけだ。他のシンポジウム参加者のように当日、会場の反応を見ながら意見を再構築するわけではない。

 電子会議でのフィードバックは、シンクタンクそのもので、自分の考えの確認のみならず、他人の意見をも吸収するよいチャンスになる。そういった機会はパソコン通信を使わなければなかなかに持てるものではない。〟電子会議を使って考えている場合〟と、〟そうではない場合〟の違いを見せつけられ、以降、私自身も幾度となく経験することになる。これはうわべの議論から本質を見い出すよい手段で、シンポジウムに限らず普段の会話や、マスメディアでワッーっと注目される話題を世論に押し流されることなく〟自分なりの考え・感じ方〟を持つきっかけになったということであろう。それも世代や職種、地域の違いを越えたよりトータルな、統合的な〟自分なりの考え〟としてだ。

 その高松館長が議長になって十月中旬に「さかな・魚」会議室がオープンした。このさかな会議は、コアラ始まって以来の〟ある分野の専門家〟が議長をする会議で(県議会議員が県議会コーナーを設けてはいるが)、即座にコアラの看板会議室になってしまった。

 水族館の先生だから魚を生かし育てること、観察することがテーマだと思ったら大間違いで、冒頭の発言が「秋サバは嫁に食わすな」という諺から始まる魚のおいしい食べ方で、魚の釣り方、ついでに遊び方、海に潜っての楽しみ方までと、さかなに関しては何でもありの硬軟織り混ぜたおもしろさがあって、若い女性達にも人気だった。コアラメンバーにとってマリーンパレスに通うのがファッションのようになってしまった。

 たとえば、東京のメンバーが大分のふぐ料理に味をしめて大分のふぐキモの質問をすれば、専門家としての話しを出しつつ、電子会議議長としての双方向の会話と話題回しを行い、その采配ぶりは「議長のお手本」で、多くのメンバーが影響を受けた。そうそう、話題が切れた頃には以前からしたためてあった、髄筆や旅行記などを小出しにして、会議全体が落ち込まないようなこともしていた。 専門家議長が日本でもまだそう多くは誕生していなかったことにもあって、大分だけでなく北海道や東北、東京のメンバーと県外から多くこの会議に参加していたのもうなずける。

 その高松議長は、数年後に私達にたいへんなショックを与えることになる。



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